受験を戦い抜く!体調管理の方法

奥村康特任教授

受験に強い体をつくる!

順天堂大学医学部・奥村康特任教授

千葉大学大学院医学研究科修了。医学博士。スタンフォード大学留学、
東京大学医学部講師、順天堂大学医学部長などを経て現職。著書多数

勉強と体づくりを両立

大学受験本番の日が、いよいよ目前に迫ってきました。受験生の皆さんは志望校突破に向け、ラストスパートをかけているところだと思いますが、ここで留意したいのは体調管理です。受験直前のストレスなどで、知らず知らずのうちに免疫力が低下し、風邪などを引きやすい身体になっているかもしれません。入試直前の今だからこそ気をつけたい「受験を戦い抜く体調管理の方法」について、順天堂大学医学部の奥村康特任教授にお話しを伺いました。

強い体づくりのカギはNK細胞!

私たちの体は日々、外から侵入するウイルスや細菌などの病原体にさらされています。それだけではなく、自身の体の細胞が分裂に失敗し、1日に約5000個のがん細胞を生み出していることをご存じでしょうか。私たちが毎日を健康に過ごせているのも、これらの敵に体が打ち勝つ仕組みが十分に働いているからなのです。

この戦いの要となるのが、「自然免疫」と呼ばれる免疫機構です。自然免疫で働く免疫細胞には数種類の存在が知られており、外部から侵入した病原体や、体にとって害となる細胞を見つけて壊すなどして、日常的に体の健康を保っています。

なかでも重要なのが、「ナチュラルキラー細胞」(NK細胞)と呼ばれる免疫細胞です。NK細胞は、まるで街中をパトロールするおまわりさんのように、単独で体内のリンパ管をめぐり、病原体に感染したり分裂に失敗するなどして正常に働かなくなった細胞を見つけては壊します。ですから、NK細胞の働きが弱まる(免疫力が低下する)と、病原体やがん細胞に負けやすくなってしまいます。

では、どうしたら免疫力の高い体を維持することができるのでしょうか。

まずは規則正しい生活を心がけて

奥村先生は、「まずは規則正しい生活を送ることが大切です」と指摘します。NK細胞は、昼に活性が高まり、夜には低くなるというサイクルがあることが分かっています。無理をして徹夜をしたり、寝坊や夜更かしをすると、このサイクルが狂ってしまうのです。

また、NK細胞にとって、ストレスは最大の敵です。NK細胞が活性化している状態であっても、心配事など、気分が落ち込む状況に出くわすと、その活性はまたたく間に下がってしまいます。特に試験の前などは憂うつになりがちですが、そんな時こそ声を出して笑ったり、友人とおしゃべりをするなど、適度な気分転換をして、ストレスを発散させることが必要なのです。

ただし、軽い運動はNK細胞の活性化をうながしますが、激しい運動を長時間続けた後には、NK細胞の活性が落ちてしまうことがわかっているので、注意が必要です。

食生活への意識も重要

とはいえ、受験生にとって、ストレスを避けたり適度な運動を行うことはなかなか難しいかもしれません。

こうした中、手軽にNK細胞の活性を高める方法として、奥村先生も指摘するのが、「免疫力を高める効果がある食品をうまく採り入れること」です。なかでも注目を集めているのが、ヨーグルトや乳酸菌飲料の摂取です。

近年、ヨーグルトや乳酸菌飲料が免疫力を高める効果を備えていることが、広く知られるようになってきました。特に受験生を抱える家庭では、体調管理についての関心がきわめて高く、保護者を対象に実施したアンケート調査でも、85%以上の人が「ヨーグルトや乳酸菌飲料の効能」について高い関心を持っていると回答しています(グラフ1)。

R-1乳酸菌の電子顕微鏡写真

ヨーグルトや乳酸菌飲料に含まれる乳酸菌は、NK細胞を活性化するほか、腸内で「乳酸」という物質を生産して、人体に悪い影響を及ぼす腸内細菌などの増殖を抑えます。

そのなかでも、「R-1乳酸菌」を利用した食品が、NK細胞の活性を効果的にうながすことが分かってきたのです。

R-1乳酸菌がNK細胞を活性化

R-1乳酸菌にどれほどの効果があるのか、山形県舟形町と佐賀県有田町で、59歳から85歳の方にR-1乳酸菌を使用したヨーグルトを摂取し続けてもらうという調査も行われました。調査の結果、ヨーグルトを8~12週間摂取し続けてもらったグループは、ヨーグルトの代わりに牛乳を摂取し続けたグループに比べ、風邪にかかるリスクが減少したことがわかりました(グラフ2)。

また、佐賀県有田町では、約2000人の小中学生が健康増進活動の一環として、平日にR-1乳酸菌を使用したヨーグルトを摂取し続けました。すると、そのシーズンは周辺の市町村に比べ、インフルエンザに感染した児童の割合が10分の1程度に減少していたことがわかりました。これらの調査結果は、R-1乳酸菌によるNK細胞の活性化が免疫力を向上させた可能性が高いことを示しています。

NK細胞をはじめとした免疫細胞の約70%は腸に集まっていますので、前述のR-1乳酸菌を使用したヨーグルトを摂取すると、R-1乳酸菌が腸に届いた時点でNK細胞を刺激し、NK細胞が活性化され、体内のパトロールを始めるというわけです。

さらに、おもしろいことに、腸内の環境が整っていて腸管がスムーズに動いていると、セロトニンというホルモンが分泌されて、気分が明るく前向きになるという研究結果も出ています。ヨーグルトで、免疫力だけでなく気分も向上すれば、勉強にも積極的に取り組めるのではないでしょうか。

市販のヨーグルトや乳酸菌飲料には最多で約600億もの乳酸菌が入っているうえ、食べやすいように味も整えられています。一度にたくさん摂るよりも、毎日時間を決めて、欠かさず摂り続ける方が効果があるので、家族みんなでヨーグルトの摂取を習慣づけ、体調管理に努めてみませんか。