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    「知」の空間を探訪する

    東京大学 ・ 安田講堂

    東京大学本郷キャンパスには、赤門(旧加賀屋敷御守殿門)や三四郎池(育徳園心字池。夏目漱石の『三四郎』にちなむ)など歴史的に貴重な建造物やスポットが数多くありますが、なかでも東大のシンボルとして親しまれているのが、この安田講堂です。

    安田財閥の祖・安田善次郎の寄附により、1925年に竣工。わが国を代表する建築家で、後に東京帝国大学第14代総長に就いた内田祥三が基本設計に携わりました。その調和のとれた、力感あふれる威容を前にした学生は、「東大に来た」ことを改めて誇らしく感じることでしょう。卒業式などがこの安田講堂で執り行われていますが、現在は耐震改修工事中です。96年12月には第1回の登録有形文化財として登録されています。

    京都大学 ・ 百周年時計台記念館

    京都大学建築学科の創設者で、明治・大正期に活躍した建築家・武田五一が設計し、1925年に完成した「時計台」。以来、90年近くにわたって、京都大学のシンボルとして親しまれてきました。

    2003年12月には、創立百周年記念事業の一環として、最新の免震構法を取り入れた改修工事を完了。外観や内装の雰囲気は、かつての伝統ある姿そのままに、新たに「百周年記念ホール」や「国際交流ホール」などを備えた学術交流の場「百周年時計台記念館」として生まれ変わったのです。

    慶應義塾大学 ・ 三田演説館

    三田演説館は、日本で最初の演説会堂です。開館は明治8年5月1日。当初は現在の図書館(旧館)と塾監局との中間あたりに位置していましたが、大正13年、現在地に移築されました。昭和42年6月には重要文化財に指定されています。

    構えは木造瓦葺、洋風、なまこ壁で、一部2階建になっており、内部はアメリカ中西部の教会を真似て設計されたものです。ここでは多くの著名人が演説をしてきました。日本で初めて演説を行ったのは、創立者・福澤諭吉であり、実際にこの会堂で演説を行いました。また、慶應義塾出身者として初めて総理大臣になった犬養毅や、黄熱病の研究で有名な野口英世などもそのうちの一人です。

    開館当時の様子を今に伝える三田演説館は、慶應義塾の伝統と先進性を象徴する建築物といえるでしょう。

    明治大学 ・ 明治大学博物館

    駿河台キャンパスにそびえるツインタワーの一角、アカデミーコモンの地階を占める明治大学博物館。収蔵品の充実と調査・研究に努め、学部・大学院の特色ある教育研究に資するとともに、社会に開かれた「知」の窓口として進化を続けています。

    常設展示室は、もっとも身近な日本文化である漆器、染織品、陶磁器などの工芸製品を紹介する「商品部門」、歴史的な法や国内外の拷問・処刑具など人権抑圧の歴史を語り伝える「刑事部門」、旧石器時代から古墳時代にいたる、明治大学の考古学研究の粋を集めた「考古部門」から構成。このほか、多彩な教育研究資源を公開する展覧会や講演会、体験学習型講座などのプログラムも実施しています。

    立教大学 ・ 本館(モリス館)

    1874年、創立者ウィリアムズ主教により築地に開設された立教学校(1907年立教大学に改称)は、1918年に現在の地・池袋に移転しました。その際に、米国聖公会宣教師アーサー・ラザフォード・モリス氏の寄付によって建てられたのが、「モリス館」の名で親しまれている立教大学のシンボル・本館です。

    震災と戦災をくぐり抜けた、つたの絡まるチューダー様式の美しいレンガ建築は、東京都選定歴史的建造物にも選ばれました。中央時計台の時計はイギリス・デント社製、動力は分銅式で、今日でも6日に一度、手で巻かれています。2011年度に耐震補強・改修工事を実施し、歴史的建造物としての価値を今後も維持できる建物としました。

    早稲田大学 ・ 坪内博士記念 演劇博物館

    “演劇の早稲田”のシンボルである演劇博物館は、日本で唯一の演劇専門の博物館です。1928(昭和3)年10月、坪内逍遙博士が古稀の齢(70歳)に達したのと、その半生を傾倒した「シェークスピヤ全集」全40巻の翻訳が完成したのを記念して、各界有志の協賛により設立されました。

    錦絵46,000枚、舞台写真200,000枚、図書150,000冊、その他衣装・人形などの演劇資料52,000点をあわせて、数十万点にもおよぶ膨大なコレクションは、70年間培われた“演劇の歴史”そのものといえるでしょう。演劇人・映画人ばかりでなく、文学・歴史・服飾・建築をはじめ、様々な分野の方々の研究に貢献しています。年数回の企画展と日本演劇の歴史を概観できる常設展があり、一般の方も無料で利用できます。

    青山学院大学 ・ 間島記念館

    関東大震災後の校舎復興時、校友間島弟彦氏が母校に図書館の建設費寄付を申し出られ、間島氏の死後、愛子夫人が氏の遺志を継ぎ、1 9 2 9 年に間島記念図書館を建設。現在は「間島記念館」として当時の姿をとどめています。

    青山キャンパス正門から正面奥に見えるコリント様式の外観の間島記念館は、青山学院の歴史と伝統の象徴です。

    なお、2008年3月、間島記念館は、「意匠的にすぐれた近代洋風建築であり、保存状態が極めて良好である」との評価を受けて、国登録有形文化財(建造物)に登録されました。

    中央大学 ・ 2号館(後楽園キャンパス)

    2号館は今後のさらなる教育環境の充実や、高度化する教育研究活動を展開していくために、2011年に竣工したばかりです。現在、理工学部都市環境学科、精密機械工学科、生命科学科の施設などを設置しています。また、2013年度より新設した人間総合理工学科もこの2号館に設置しています。今後数十年間にわたり常に高いパフォーマンスと利用効率を発揮するために、様々な技術的工夫や省エネルギーへの配慮をしています。より高い耐震性を担保すると同時に、内部は可能な限り柱をなくすことで研究内容の変化に応じて容易に間仕切りが変更できるフレキシビリティーを確保しています。また、建設に伴って伐採された樹木を再利用したベンチや新たな試みを加えたアメニティーなど、“継承”と“創造”を表現した施設となっています。

    法政大学 ・ 5 5 年館 ホール

    法政大学建築学科の礎を築いた建築家・大江宏教授の設計による、市ケ谷キャンパスでも最も古い歴史を誇る「55年館」。そのホールの正面には、『論語』の有名な一節「学而不思則罔 思而不学則殆」(学んで思わざればすなわち罔[くら]し、思って学ばざればすなわち殆[あやう]し)の言葉が掲げられています。

    これは、わが国の大正・昭和期を代表する経済学者で、法政大学の総長も務め「大学の飛躍的発展」に尽力した大内兵衛( 在任1 9 5 0~1 9 5 9 )の筆によるもの。訪れる学生たちも思わず足を止める、知の威厳に満ちたそのレリーフは、学問の府としての法政大学の根本理念をよく表し、その目標を指し示しています。

    関西大学 ・ 高槻ミューズキャンパス

    2010年4月、大阪と京都の中間に位置するJR高槻駅前の好立地に開設。初等部、中等部、高等部、大学、大学院が併設され、特色ある一貫教育が行われています。なかでも社会安全学部は、現代社会の安全を脅かす諸問題を解決するために、法学、政治学、経済学、経営学、心理学、社会学、理学、情報学、工学、社会医学などを幅広く学ぶ文理融合型学部で、フィールドワークを通じてプレゼンテーション能力や政策立案能力を養っています。

    また、キャンパスは高槻市が提唱する「安全・安心のまちづくり」に寄与するため、災害時の緊急避難場所としてその役割を果たすとともに、生涯学習の拠点として児童図書館や生涯学習センターを設けるなど「社会貢献型都市キャンパス」を目指しています。

    関西学院大学 ・ 時計台

    関西学院大学の西宮上ケ原キャンパスは、日本で活躍した建築家W.M.ヴォーリズの設計。1929年の移転以来、その美しさを誇り続けています。

    赤い瓦屋根とクリーム色の壁の「スパニッシュ・ミッション・スタイル」で統一されたキャンパスの中心に位置するのが、関学のシンボル「時計台」です。今日もなおその優美なたたずまいで、学生・教職員の知的探究の時を刻んでいます。このように、開学当初から国際色豊かな環境で教育を行ってきた関西学院大学では今春、文部科学省の「グローバル人材育成推進事業( 全学推進型)」に採択された「実践型“世界市民”育成プログラム」をスタート。高度なコミュニケーション能力や課題解決能力を身につけた「世界市民」の育成をめざします。

    同志社大学 ・ クラーク記念館

    1893(明治26)年竣工(国指定重要文化財)。アメリカのB.W.クラーク夫妻が、アメリカン・ボード(海外宣教団体)に申し出た寄付金をもとに建てられました。設計はお雇い外国人であったR .ゼール。塔屋が印象的なこのレンガ建築は、同志社のシンボル的存在です。

    老朽化のため、5年間にもおよぶ大規模な修復工事を行い、2 0 0 8 年3月、創建当時の姿に復原されました。なかでも2階の講堂は、新たに「クラーク・チャペル」と命名され、礼拝をはじめ講演会や結婚式など、同志社のキリスト教主義の発信地として、また人々のメモリアルな場として、広く利用されています。

    立命館大学 ・ 立命館大学国際平和ミュージアム

    1992年5月19日、立命館大学の「平和と民主主義」の教学理念を具体化する世界初の大学立の平和博物館として開設。2005年2月、博物館相当施設に指定。同年4月、「平和をもとめて」をテーマに第2展示室と国際平和メディア資料室を開設し、歴史に学び、未来の平和創造を目指しています。一五年戦争から現代の戦争・紛争の実態や平和への歩み、現在の世界を取り巻く暴力や貧困問題とそれを防ぐための活動について紹介。戦没画学生の作品を集めた無言館(上田市)の京都館/いのちの画室もあります。収蔵資料は約4万点。「世界報道写真展」などの特別展も開催しています。立命館大学生や附属校生の利用だけでなく、大勢の修学旅行生や市民が見学に訪れています。(2013年7月末 約86万人)