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    大学入門講座

    学部・学科選び入門


    社会学・社会福祉学系統 ~社会学、社会科学、社会福祉学部など~

     社会学では、現代社会が抱えているさまざまな問題を扱います。学べる内容は多岐に渡っており、大学によってカリキュラムが大幅に異なります。一方、社会福祉学は、近年の高齢化時代を迎えて、需要が高まる社会福祉士や介護福祉士などの資格取得に向けた教育が行われています。

    社会と人間の関係を多方面から学ぶ

     日常生活に生じるさまざまな現象や出来事が社会とどうかかわっているかを学ぶのが社会学です。文化や民族、労働、家族、ジェンダー、メディアなど、その領域は多岐に渡っています。この分野の学部・学科では、「社会」の多面的な姿を研究し、さまざまな問題を総合的に研究、考察していく手法を身につけます。社会学的な考え方や分析力を養うカリキュラムを用意。自分の興味・関心のあるテーマを、自分で調べ、考え、結論づけていく姿勢を身につけていきます。

     野外調査活動の一環であるフィールドワークや実習が充実していることも、大きな特徴です。また、研究成果をデータ化するなど、コンピュータを活用する機会が多くなっています。卒業時に、調査や報告書の作成など、社会調査の全過程を担う社会調査士の資格を取得できる大学もあります。

    心と身体の両面から人をサポートする専門家を育成

     日本は世界有数の長寿国ですが、働く世代や子どもの数が減少。超高齢化社会を迎えています。その一方で、介護業界は人材不足が深刻化しています。

     社会福祉系の学部・学科では、すべての人を支えるケアの知識や技術を身につけた介護職者を育成しています。資格取得を視野に入れたカリキュラムが特徴です。

     社会福祉の基礎科目や、医療や心理、教育、社会学などの隣接領域を総合的に学ぶとともに、政策運営に関わる社会制度について学習します。また、提携している病院や社会福祉施設・機関、NPO、ボランティア団体などでの現場実習やフィールドワークなどの体験型の科目も豊富です。講義・実習・演習をバランスよく組み合わせたカリキュラムで、社会福祉が人々の暮らしにどのように関わっているかを学びます。

     所定の科目を履修すれば、社会福祉士や介護福祉士、精神保健福祉士などの介護・福祉系の国家試験受験資格や高等学校、特別支援学校などの教職資格を得られます。また、学科をさらに細分化し、取得できる資格ごとにコース・専攻を設置している大学もあります。


    教育学系統 ~教育学部、教育人間科学部など~

     国立大学の教育学部には教員養成系と教員免許取得を義務付けていない教養学系の課程があります。人気が高い教員養成系では、幼稚園・小学校・中学校・高等学校・特別支援学校の教員を輩出しています。一方、教養学系の課程は廃止が相次いでいます。

    教員養成に最適なカリキュラムを用意

     いじめや不登校問題、精神性疾患を患う教員の増加など、多くの課題を抱える教育業界。人材不足も進んでおり、こうした状況を打開するために、ここ数年、私立大学に教育学部を設置するケースが増えています。

     ここでは、主に国立大学に設置されている学校教員養成課程について説明します。

     学校教員養成課程には幼稚園、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校などの学校種別、あるいは教科別のコース・専攻があります。複数の教員免許を取得できる場合が多く、教員を目指している人には最適な環境で学べるメリットがあります。特定の教員免許を取得することが卒業要件です。初等教育を専攻した場合、幼稚園・小学校教諭免許のほか、保育士資格が取得できる大学もあります。

     カリキュラムは教育学や教育心理学など基礎理論を学ぶ科目と、国語や社会、英語などの教科に関する科目、および教育現場での体験・実習で構成されています。体験・実習では実際に学校で子どもたちと触れ合いながら指導のノウハウを学びます。そして3、4年次の教育実習では、実際に教壇に立って子どもたちを指導します。

      学校教員養成課程以外の学部・学科でも、各大学に設置されている教職課程を受講すれば中学・高校の教員免許が取得できます。

     公立学校の教員になるには、教員免許を取得し、各都道府県の教員採用試験に合格する必要があります。ここ数年、教員が不足している自治体が多く、採用者数が増加しています。私立学校では各校独自の選考で教員を採用します。

     教員養成に特化した教育を行う専門職大学院では、多様化する学校教育の現場で、高い専門性と豊かな人間性・社会性を発揮し活躍する教員を育てています。標準修業年限は2年間ですが、教員経験者を対象とする1年コースや教員免許を持たない人向けに、免許もあわせて取得できる3、4年コースなど、各大学院独自のプログラムがあります。

     一方、国立大学の教育学部には、教員免許の取得を義務付けていない教養系の課程があり、文系・理系の枠を越えた学際的な教育が行われています。

     近年、国立大学では人文社会科学系学部・大学院における組織の見直しが進められています。これに伴い、教員養成系学部では、今後の人口動態や教員の需要などを踏まえて量的な縮小を図りつつ、初等中等教育を担う教員の質の向上に向けた改革が進められています。その一環として、教員免許の取得を義務づけていない教養系の課程を廃止し、社会的な要請の高い分野に転換していく流れがあります。


    国際学・観光学・地域学系統 ~国際、観光、地域創生学部など~

     社会のボーダレス化が進む中、注目を集めているのがこの系統の学部・学科です。特に、国際学系統はここ数年人気があります。また、人口減少や超高齢化が進み、地域のあり方を考える「地方創生」の概念が広まる中、「地域」と冠した学部・学科を開設する大学が増えています。

    世界で活躍するための基礎力を磨く

     国際学系統の学部・学科は大学によって学科構成や教育内容が大きく異なります。一般的に人文科学系と社会科学系の科目が多いのが特色です。世界各国の政治、経済、環境、文化などについてよりグローバルな視点から考えていきます。また、どの大学でも語学教育に力を入れています。専門科目の授業を英語で受講したり、充実した留学支援制度があるなど、海外に目を向けた教育が行われ、グローバル社会で活躍するために必要な語学力や教養を養います。海外留学を必修とする大学も多くなっています。

     一方、異文化理解を深めながら、日本の魅力についても幅広く学べる学部や、エアライン業界への就職を目指す学生向けに特別なプログラムを用意している大学など、大学によって独自の取り組みを行っています。

     また、各国からの留学生が多い大学のキャンパスは国際色豊かです。学内でグローバルな体験ができる施設・設備も充実しています。

    多様な価値観を養い、観光業や地域活性化に携わる人材を育成

     近年、全世界の旅行者数は増加を続けています。日本を訪れる外国人旅行者数も増加傾向が続いており、オリンピック・パラリンピック東京大会が開催される2020年には世界各国からさらに多くの外国人旅行者が日本を訪れるといわれています。

     21世紀最大の成長産業である“観光” は、地域活性化や雇用機会の創出など、経済的・文化的な影響力が計り知れない分野。日本では、観光立国の実現を目指してさまざまな取り組みが進められています。こうした中、観光について学べる大学も増えています。

     観光産業は旅行やレジャー、まちづくりなどさまざまな分野に関わっています。この系統の学部・学科では旅行業やホテル・エアラインなどのホスピタリティ産業で活かせる知識やスキルを磨き、今後の観光産業を支える人材を育てます。インターンシップやフィールドワークなどの体験型プログラムが豊富です。人文・社会科学の幅広い教養と併せて実践力を身につけられる学習環境が整っています。また、英語による授業を実施したり、留学を推進するなど、語学力と国際感覚を身につけられるのも大きな特徴です。

     一方、日本が直面している少子高齢化は、地方でより深刻化しています。少子化や人口移動に歯止めがかからず、将来消滅する可能性がある自治体は、全国の市区町村の約半分という推計もあります。こうした状況を受け、地方自治体では地域産業の活性化と競争力の強化を促し、安定した雇用を創出する新たな取り組みに力を入れています。

     地域について学べる学部・学科の開設も相次いでいます。2016年4月には、宇都宮大に地域デザイン科学部、福井大に国際地域学部、佐賀大に芸術地域デザイン学部、宮崎大に地域資源創生学部など、地域創生系の学部・学科が多数誕生します。

     この分野もまた、大学によって学べる内容は大きく異なりますが、地域の発展や問題解決に取り組んでいく実践型の学びが特徴。地域の文化・歴史・社会に関する学際的な知識を養っていきます。地域実習などのフィールドワークの機会も豊富です。


    情報学・環境学系統 ~情報、環境学部など~

     情報テクノロジーの発展により、現代社会は急激な変化を遂げました。その一方で、環境に関するさまざまな課題にも注目が集まっています。この系統は最先端の技術や現代的な課題について学べる比較的新しい系統です。

    文系・理系によって学びの切り口が異なる

     情報学は文系・理系の両方で学べます。学部として独立し、文理融合型の教育を行っている大学もあります。

     人文・社会科学系の学部にある場合、各専門分野を論理的・科学的に解析する際に、“情報” をどのように活用していくのか、その理論と方法論について学んでいきます。学科には、心理情報学科や社会情報学科、経営情報学科、情報福祉マネジメント学科などがあります。

     工学部をはじめとする理系にある場合、各種情報機器のハードウェアとソフトウェアの基礎技術について専門的に学びます。学科には情報科学科、情報工学科、知能情報学科などがあります。

     “環境” 系の学部・学科も文系・理系の両方に設置されています。

     文系学部では、人間の生活環境に焦点を当てていることが多く、社会科学系や家政・生活科学系の専門分野とあわせて学べるカリキュラムが特徴です。人と環境の関わりを多角的に追究する人間環境学科や生活環境学科、環境への取組みをデザインの視点から学ぶ環境デザイン学科などです。

     一方、理系学部にある場合は、総合科学としての色合いが濃くなります。学科には、地球と人類の共存を目指す地球環境学科や、生き物や生態系について考える生命環境学科などがあります。

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