大学の教育力を探る ~就職力を身につける~
学生一人ひとりの就業意識を醸成しより一層の成長を図る
大学新卒者の就職内定率は、2012年にようやく下降から上向きに転じましたが、厳しい状況が続いています。内定獲得の分かれ目は、学生自身の意識はもちろんですが、大学が提供する「就職力を伸ばすプログラム」も重要なポイントと言えそうです。
大学設置基準改正により、2011年から大学でキャリア教育を実施することが義務化され、社会との関連を意識しながら学べるように配慮し、また、企業や官公庁での業務を体験する「インターンシップ」をカリキュラムに組み入れる大学が増えています。
正課外の就職指導では、就職活動の進め方や企業研究、卒業生に就職活動体験談や現在の仕事について話してもらう懇談会といった説明形式のプログラムに加え、学生一人ひとりが職業観を形成し、これからの人生全体を視野に入れた「就職」ができるように、各大学で工夫を凝らした「プラスアルファ」の指導が行われています。このほか、学生自身が自分の長所や適性に気付く機会となる親身で丁寧な個別相談などを実施する大学もあります。
専門の知識や技術を教授するだけでなく、学生の人間的な成長を促すことも大学教育の役割の一つと見なされるようになってきました。「生きる力」とも言える就職力を身につけた学生を社会へ送り出せる大学こそが、教育力ある大学と言えるでしょう。