競争を法で守らないとどうなるの? 【高校生のための「法学」講座 14】
普段の生活の中でほしい商品を見つけると、高い品質や機能を期待するとともに、できれば安く手に入れたいと思っているのではないでしょうか。特に高価な商品となると、ショップを何軒も回り、ほかより安く購入できると、飛び上がるほど嬉しくなりますよね。
日常的な光景ですが、消費者として異なるメーカーやショップから、機能や価格面で自身の希望に合致する商品を見つけられること、言い換えると多くの選択肢を消費者に提供されているということは、健全な日常生活を構成する重要な仕組みです。
なぜ類似商品でも機能に違いがあり、同じ商品でもショップによって価格も異なっているかというと、商品間やショップ間に競争が働いており、その競争は専門の法律によって守られているからです。
競争はなぜ守らなければならないのか、大学へ進学したら課題解答の作成等に必ず使わなければならない必需品となるパソコンを例に一緒に考えてみましょう。
もし、パソコンを製造・販売する企業が一社のみとなったら、どのようなことが起きるでしょうか。
競争相手がいれば、消費者に自身のパソコンを買ってもらえるよう相手よりも安く販売しようと努力をしなければなりませんが、一社独占となると、パソコンを必要とする消費者がいずれこの企業から買わざるをえないということになるので、価格を数倍高く設定することだってできるようになります。
また、競争相手がいれば、消費者のニーズに応え相手よりも高性能を実現しようと研究開発に積極的に取り組まなければなりませんが、一社独占となると、開発努力のインセンティブも必要性もなくなり、旧式のパソコンをそのまま販売し続けることになります。
このように、競争相手の存在が非常に大切ということですね。だからこそ、競争を守ることは非常に重要となってきます。
他方で、一社独占に至る状況でなくても競争を守る必要があります。
例えば、企業同士らが多く儲かるために秘密裏に話し合ってみんなで一斉値上げを取り決めることもあります。
このような互いに競争を回避する行動は違法行為であって「カルテル」と呼ばれます。カルテルによって、消費者がどこに行っても商品を安く購入することができなくなり、競争があるときと比べ、数倍の支出も余儀なくされます。だからこそ、競争を守ることは、健全な日常生活を守るということにもなります。
競争を守る法律といえば、経済憲法と呼ばれる独占禁止法をはじめとする経済法領域の法律が重要な役割を果たしています。
皆さん、大学に入りましたら、ぜひ一緒に学ぼうではありませんか。