約束と契約ってどう違うの? 【高校生のための「法学」講座 2】
約束は、「日曜日に遊びに行こう」という誘いに対して、「そうだね」と返事をするようなものなど、皆さんに身近なものだといえます。これに対して、契約は、契約書を用意し、なにか堅苦しいものを想像してしまうかもしれません。しかし、実際には、みなさんがスーパーで買い物をしたり、切符を買って(今は電子マネーが主流ですが)電車に乗ったりすることも、それぞれ売買契約や運送契約といわれるものであり、契約も身近なものです。
約束も契約も当事者同士が交わす合意であることには変わりがありません。このような約束と契約は、どのように違うのでしょうか。
まず約束を破ったら、どうなるかを考えてみましょう。日曜日に遊びに行く約束をしていたのにもかかわらず、寝ていて忘れていた、あるいは違う友人と遊びに行ってしまったというようなこともあるかもしれません。この場合、友人に怒られたり、今後誘われなくなったりすることはありえます。しかし、これらは、道徳的に問題があるとしても、法律上問題があるということにはなりませんよね。
これに対して、契約を破ったら、どうなるのでしょうか。もちろん破られた契約の相手側は怒るでしょうし、この点で約束と変わりはありません。ただ、それだけでは済まないのが契約と約束との違いといえます。つまり、契約の場合には、国家によって強制されたり、破った場合に生じた損害を賠償させられたり、強力な効果が認められるものとなります。
したがって、インターネット上で知り合った人と売り買いの合意をし、この売買契約を破って商品の発送をしなかった、あるいは代金を支払わなかった場合には、契約をちゃんと守らなかったとして訴えられることもありえることになります。
※イメージ写真は、立正大学法学部 柴田龍ゼミの授業風景です