社長と代表取締役って何が違うの? 【高校生のための「法学」講座 5】
皆さんは、「○○会社社長××」とか「△△会社代表取締役□□」というように、会社経営者を表す肩書きには様々なものがあるように感じたことはありませんか?
他にも、「会長」や「頭取」、最近では「CEO」とか「最高経営責任者」というものも見かけます。
それでは、これらの肩書きにはどのような違いがあるのでしょうか。
あまりなじみがないかもしれませんが、会社に関するものごとを定めている法律として「会社法」という法律があります。この法律の中にその答えが示されています。
会社法では、代表取締役は、会社の代表者として、会社の経営に関するあらゆる行為をする権限があると規定されています。
つまり、「代表取締役」という肩書きは、「その人には会社を代表して行動する法的な権限がありますよ」ということを表しているわけです。
それでは、会社法において「社長」はどのように規定されているのでしょうか。
会社法には社長の権限を直接示す条文はありません。それどころか「社長」という単語すらほとんど出てきません。実は、「社長」という肩書きは、その会社が独自に定めた「社内での地位」の一つにすぎません。「会長」、「頭取」、「CEO」、「最高経営責任者」といった肩書きも同様です。
つまり、これらの肩書きは、会社内の地位におけるトップを表すものではありますが、何らかの法的な権限を有することを示すものではないというわけです。
もっとも、一般的に「社長」の肩書きを持つ者は社内トップの地位にあるわけだから、当然その会社を代表する法的な権限を有しているだろうと考えるのも無理はありません。そこで、会社法および判例では、会社が代表権のない者に社長、副社長その他会社を代表する権限を有するような名称を付したときには、その者に代表権があると信じた相手に対して、会社はその者の行為について責任を負わなければならない場合があるとされています。
※イメージ写真は、立正大学法学部 出口哲也ゼミの授業風景です